静岡朝日テレビホーム > 番組 > サタハピ しずおか > 「亮のシズオカレンダー」ここだけの話 > 1000年の歴史を誇る「葛布」

「亮のシズオカレンダー」ここだけの話

1000年の歴史を誇る「葛布」

2018-08-31

1000年の歴史を誇る「葛布」

paper web

今回、亮さんがやってきたのは、先週に引き続いて掛川市。1000年の歴史がある「葛布(くずふ)」作りのお手伝いしてきました。ここではいったいどんな出会いが待っていたのでしょうか。 <放送日:2018年8月25日>

こちらは、亮さんが手織りした「葛布」のコースター。

亮さんがお邪魔した、掛川葛布を製造販売する「小崎葛布工芸」の山下しかさんご指導のもと、完成しました。

この道60年の大ベテランの山下さんが、織り機の使い方をていねいに教えてくれました

日本三大古布のひとつの「葛布」

「葛って、葛湯とか葛根湯とかの葛とおんなじものなんですか?」
「そうです。葛の根からは、葛湯やくずきりの原料ができる。葛布はその葛のつるの部分を使うんです」

葛布について詳しく説明してくれたのは、「小崎葛布工芸」の5代目、小崎隆志さん。

亮さんと小崎さんの後ろにかかっているのれんやうちわも葛布でできています

そもそも「葛布」とは、葛のつるの部分を煮て水に晒して発酵。そこから繊維を取りだし紡いで作った布のこと。

「葛布」は1000年も昔から作られており、「芭蕉布(沖縄)」「科布(山形など)」と並んで、日本三大古布として知られています。
江戸時代には、そのしなやかさや上品な風合いから掛川葛布が重宝されており、掛川の一大産業だったといいます。

「6月から8月が葛の最盛期で、そのへんに繁茂してる」
「え?そのへんに繁茂?」
「掛川近辺の新幹線ののり面に、ビシーッと生えている緑、あれが葛で、グリーンモンスターっていわれてるくらい」

どうやら、葛は勝手にどんどん生えてくる植物のようです。

とてもアナログな、葛布作り

そんな葛をとり続けて30年、葛とり名人の松浦善美さんに、葛の刈り取りから糸の材料の製法までを教えてもらいました。

「運良く、うちの畑にも葛が生えてきてくれたもんですから」
「運良く?」

松浦さんの畑で、まずは葛の収穫。
ある程度太くてまっすぐ生えている葛を収穫します。

葛は、株によって性格が違い、繊維を取るのに向いているものとそうではないものがあるといいます。

しかし、その見極めは、葛とり名人の松浦さんでも見た目だけではわからないといいます。
つるの一部を切り取って加工してみて、結果的に良い株が見つかれば、再び同じ株から刈り取るという、非常に手間のかかる原始的な方法で葛を採取します。

「松浦さんは、この畑以外に葛がなかったらどうするつもりだったんですか」
「それは、、いたしかたなし」

刈り取った葛のつるを、粟ヶ岳の山中にある松浦さんの自宅まで、およそ20分かけて運びます。

まずは刈り取った葛を、お湯で20分ほど煮ます。

「お湯で煮ると、おいしそうな色になりますね。枝豆だな」

その後、一晩水に漬け、翌日、草をかぶせてつるを発酵させます。

松浦さんが用意してくれていた3日前に収穫した葛のつる

すると、表面の皮だけが茶色く腐ります。

その表面の皮を指で剥がしていきます。

「で、モジョモジョモジョってやると」

「あー、薄皮だ!」
「これが、葛の繊維です」

発酵した表皮の下に、葛の繊維があるんですね。
この繊維がばらばらにならない良質な葛のつるを見つけるためには、ここまでの作業をしないとわからない。だから、やってみないとわからないんですね。

半日ほど天日干しすれば、糸の原料となる葛苧(くずお)の完成。

「くず特有の香りがすると思います」
「うん、布団の匂い、太陽の匂い!」

この葛苧(くずお)をつないで糸にして、絹や木綿と合わせて織れば葛布のできあがり。
非常に手間がかかる葛布づくりですが、とてもデリケートな作業のため、機械化もできません。
しかし、明治時代から、海外では「壁紙の女王」とも呼ばれた葛布。最近では海外での需要が増えつつあるといいます。

若い人たちが担い手となって、1000年続く伝統の布づくりを受け継いでいってもらいたい、それが松浦さんや小崎さんたちの願いだそうです。

亮さん、あることに気が付きます

「こんだけ手間のかかる葛布作り、なんとか楽にできないか」

ロケの間、いろいろ考えていた亮さん。
ふと、あることに気づきます。

「松浦さんのお宅で作業するんやから、家の近くに質の良い葛が生えてたら便利ですよね」

そうです。
松浦さんの畑と自宅は、車で20分。この行き来だけでも結構時間がかかります。
作業場のある自宅の目の前に、良質な葛が生えていたら、それこそ葛の取り放題です。

すると、松浦さんが意外なことを言います。

「そうです。葛の挿し芽をあそこでやってみたんです」
「え、やってるんですか?」

松浦さんが挿し芽をして育てている葛がこちら。

これまで探した葛の中から、良質な葛をここで増やしているんだそうです。

「そやねん。これをやったらいいんですよ」
「今年、初めてやってみた」

「えーっ! 30年やってきて、今まで気がつかなかったんですか?」
「あぁ、今まで気がつけばよかったんですけどね」

真面目な松浦さんですから、先人の教え通りにやってきたんですよね。
これからは、もう少し楽して上質な葛布が作れるようになるとよいですね。

今週の亮さんは、どこへ向かったのでしょう?

亮さんが手にしているのは、ぶどうですね。
でも、ぶどう狩りに来ているわけではないようです。

今週は、収穫シーズンを迎えた広大なワイナリーで、ワイン作りと向き合います。

「うん!スッキリとしていて甘くない」

富士山のふもとで、キリッと冷えたワインを頂いちゃいましたよ。
ここではいったいどんな出会いが待っていたのでしょうか。

放送は、9月1日(土)朝9:30から。おたのしみに〜

ABOUT 写真と文

志水竜一

ページトップへ