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「亮のシズオカレンダー」ここだけの話

伝統の技で作られる「新茶」〜前編〜

2018-05-04

伝統の技で作られる「新茶」〜前編〜

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静岡県を代表する名産品のお茶。今年は4月18日に静岡茶市場の初取引が始まり、GWにかけて最盛期を迎える茶業界。今回の亮さんは、そんな茶業界の中でも、お茶の仕上げを司る“茶商”のお仕事をお手伝いしてきました。前編では、茶市場内外で繰り広げられる、お茶の取引に密着です。<放送日:2018年4月28日>

昨年5月に、島田市のお茶農家「かねかわ園」でお茶のお仕事をお手伝いしてました。

この時、お茶の生産から荒茶作りまでを体験した亮さん。

「荒茶ってことは、まだお茶が完成したわけじゃない?」

そうなんです。
生産農家さんが作る荒茶を、ブレンドして仕上げていくまでの工程をじっくり学びます。

全国に13名しかいない、名茶師

今回密着させていただいたのは、3代に渡り家族で経営する製茶問屋「前田幸太郎商店」で、茶師として活躍する前田文男さん。

全国茶審査技術大会で、史上初の十段を取得した利き茶の名人です。

文男さんは、ラガーシャツがトレードマーク。「製茶問屋は体力勝負なので、動きやすい服装が不可欠なんです」

写真奥の社長、前田裕充さんが、文男さんのことを説明してくれます。

「文男のお父さんは、前田政晴っていうんだけど、茶業界のシェパードって言われるくらいの茶師だったんだよ。その息子の文男は、茶業界のサラブレッドって言われててね」

「シェパードの息子がサラブレッドって。。」

亮さんすかさず突っ込みますが、それでも社長の説明は続きます。

「昔は、全国茶審査技術大会の段位は九段までしかなくって、『九段を取れる人は出るはずがない』って言われてたんだけど、文男があっさり取得してその後も連勝するもんだから、十段を正式に作って、その初代が文男ってわけだ。なにしろ、お茶の匂いを嗅いだだけで、どこの産地か当てちゃうんだから」

認定証を指差しながら、説明にますます力の入る社長

とても優れた実力をもつ文男さんを、自慢したくて仕方がないようです。

そんな社長の説明に、若干、文男さんも照れ笑い。

すると亮さんが助け舟。

「文男さんは、アレルギー性鼻炎じゃない?」
「あ、そういえば、今年からなったっぽいです」

おちゃめな文男さんの確かな技術が、前田幸太郎商店のお茶のレベルを支えています。

お茶の世界はスピード勝負

早朝5時過ぎ、前田幸太郎商店でのロケ開始早々、慌ただしく自転車を駆け下りお店に飛び込んでくる一人の男性。

すると現場が急に慌ただしく殺気立った雰囲気になります。

こちらの男性は、お茶の「あっせん屋」さん。

お茶農家で作られた荒茶を、茶商のいる製茶問屋に届ける、いわば手配師なのだといいます。

茶筒からお茶をとり出し、並べていきます。

そして、文男さんがそれぞれのお茶の香りを確認。

亮さんも後ろから見守っていますが、何が行われているか聞ける雰囲気ではありません。

「やばい、完全に取り残されてる!」

「これはちょっとみるめやでぇ」

何やら密談が交わされ、

「あっせん屋」さんは、お店を去っていきました。
この間、ものの数分。

「なんやねん! 話し聞く前に終わってもうた」

現場が落ち着いたところで、改めてお茶の「あっせん屋」の役割を教えてもらいました。

《「あっせん屋」のお仕事》
・早朝2時ころ生産農家へ行って、でき上がったばかりの荒茶のサンプルを入手
・そのサンプルを持って、お茶問屋に売り込みをかけ、商談をまとめる

「え、じゃなんで自転車で来たの?」

《「あっせん屋」が自転車で移動する理由》
・あっせん屋は、このあたりに複数あるお茶問屋にサンプルを届ける
・この周辺は道が細く、一方通行も多いため、車やバイクだと小回りがきかない
・また、早朝からエンジンを掛けると近所迷惑

「でも、そんなに急ぐ必要がわからん」

《「あっせん屋」がめちゃめちゃ急いでいた理由》
・ひとつの農家が作った同じ荒茶のサンプルを、複数のあっせん屋がいろんな茶商へ売り込む
・そのため、他のあっせん屋が先に取引成立する前に、少しでも早くサンプルを届けなければならない
・昔は競輪選手を雇ってあっせん屋の仕事をしてもらったこともあるほど

あっせん屋は、以前は20軒ほどあったといいますが、今では8軒くらいにまで減ったと社長は言います。

「なんで減っちゃったんですか?」
「そりゃね、彼らはお茶の最盛期の3ヶ月間の取引手数料だけで食べていくことになるから大変だよ。だけど、生産者がいろんな茶商に売り込むことは難しいから、調整する役割としてはとても大事なんだよね」

お茶の世界、本当に深いですね。

静岡茶市場の初取引にも密着

「あっせん屋」とのお茶の取引が場外取引とすれば、「茶市場」での取引は場内取引。

ロケのあったこの日は、ちょうど静岡茶市場の初取引ということもあり、熱気とお茶の香りに包まれた市場で、亮さんもお手伝いしてきました。

市場の熱気に押され、亮さんも少し興奮気味

お茶のティスティングスペースでは、

しっかり、香りを確かめます

そして、しっかり飲んじゃいまいした。「こんなにゆっくり飲んでるやつ、ひとりもおらん!」

しばらく検討の後、目当てのお茶を前に、茶市場担当者と価格交渉が始まります。

茶商の取引では、早い者勝ちで値段の交渉権を得て、交渉が成立すればそれで売買終了する、相対売買。

セリではないため、ここでもスピードが命なんです。

1kgあたり50円の攻防。購入する量が400kgともなれば、交渉は自然と熱を帯びてきます

他の人に交渉価格がわからないようにするため、裏側に板が貼られた特殊なそろばんを使って交渉します。

そして、“パン、パン、パン”と手を叩いて交渉が成立したことを周りにも伝える“手合わせ”をします。

亮さんも、茶市場担当者に手合わせの圧力をかけ、交渉成立を迫ります。

そしてついに、

“パン、パン、パンッ!”

「成立しましたねぇ〜!」

亮さん、ご苦労様でした。

前田さんたちが買ったお茶を前に記念撮影。

これらも含め、この日だけで600万円分の荒茶を購入しました。

「明日は雨が降る予報なので、お茶が出回らない可能性もあります。だから、今日のうちにどの程度購入する必要があるかを見極めるのも大切なんです」

市場の状況や天候との駆け引き。
さまざまな経験や技術が物を言う世界のようです。

次週、いよいよ、茶師の仕事と向き合います

次週は、市場などで仕入れた荒茶を仕上げる作業のお手伝い。

利き茶の技が冴える茶商のお仕事をじっくり学びます。

放送は、5月5日(土)朝9:30から。おたのしみに〜

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