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「亮のシズオカレンダー」ここだけの話

野生動物を"生け捕り"する「罠猟」〜後編〜

2018-03-16

野生動物を"生け捕り"する「罠猟」〜後編〜

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野生動物を"生け捕り"する伝説のハンター、片桐邦雄さんのお手伝いをする後編。前編では、罠にかかった鹿の大きさにおののく亮さんでしたが、後編では、いよいよ“生け捕り”にして解体作業をお手伝い。命をいただくことのありがたさを噛みしめます。<放送日:2018年3月10日>

ついに遭遇。真剣勝負の捕獲劇

「待って、どうしよう。。。俺は何ができるんだ。俺はあいつと対峙できるか?」

圧倒的な野生の生命力を目の当たりにし、不安を口にする亮さん。
野生の本能がむき出しになった動物との真剣勝負が始まります。

この日、罠にかかっていたのは、推定3〜4歳、およそ60kgのオス鹿。
罠を外そうと必死に暴れまわる鹿には、立派な角がついています。

「角に刺されるとですね、体、通っちゃいますから」

興奮する亮さんを落ち着かせるかのように、淡々と危険を語り、捕獲のための準備を進める片桐さん。
そんな片桐さんでも、罠にかかった獲物を捕獲する作業は、緊張する大仕事だといいます。

「まだ、狩りは成功してませんのでね。足を縛って目隠しするまでは」

じっくりと、獲物の状況を見つめる片桐さん。
どのようにして危険な鹿の角を取るべきか、作戦を考えた上で森の中へ向かいます。

片桐さんは、特殊な道具で鹿の角を確保することにしました。

じわりと間合いを取り、鹿の角を取るタイミングを見図ります。

そして、、、

無事、鹿の角を確保しました。
すかさずワイヤーを木にくくりつけて、鹿が自由に動ける範囲を狭めます。

片桐さんが鹿の足をつかんだところで、亮さんは鹿の角を踏みつけ鹿を固定。
その間に、片桐さんが四足を手早く縛りあげます。

「亮さん、そしたら目隠しをしてください」

「ごめんよ」

そっと鹿に声をかけた亮さん。
片桐さんから事前に手渡されていた粘着テープで、鹿の目と周りを目隠ししていきます。

「目隠ししたら、さっきまでビクンって暴れてたのが静かになった」

これで、“生け捕り”完了です。

およそ10分に渡る激闘を終え、車の荷台に無事くくりつけた亮さん、ほっと一安心です。

「冷静になってよく見たら、鹿の口の周りにはヒゲが生えてるんですね」

よく見ないとわかりませんが、鼻や下顎の周りにツンツンと長いヒゲが生えているのがわかります。

「ヒゲが無いと、頭ぶつけちゃいますからね」

鹿は夜行性のため、このヒゲの触覚がないと行動できないといいます。

「こうやって見ることで、改めて野生の動物の生態に納得する」

山の神様に感謝の気持ちを込め、一礼します。

これが、山とともに生きる、ハンター片桐さんの日常なんですね。

猪の驚きの嗅覚

放送されませんでしたが、その後、新たな罠を仕掛けるため、もう一度山に入った片桐さんと亮さん。

「一度、動物が暴れた場所には、しばらく近寄りませんからね」

先ほど鹿がかかった場所から、さらに森の奥に足を踏み入れます。
片桐さんは、動物たちの通り道、通称“ウツ”を慎重に見分けながら歩みを進めていきます。

「人間が足を踏み入れたりすると、野生動物にはバレちゃいますか?」
「猪は、犬の倍、鼻がいいですからね」
「犬の倍!」
「彼らは、臭いで、その発生元の形がわかるんです。丸いものなのかサンカクなのか。木が呼吸している臭いもわかりますからね」

“ウツ”には決して足を踏み入れないよう、動物たちの通り道の途中に、罠を仕掛けていきます。

罠を掛ける場所を決めたら、枯れ葉をよけて土を掘り、小さな穴を開け、通称“お弁当箱”をセット。

枯れ葉を上にかぶせます。
小枝も、わざと獣の通り道を塞ぐように置きます。

「この枝と枝の間に足を置こうとするその下に、“お弁当箱”を仕掛けるんです」

動物の習性を完全に理解した、片桐さんならではの細かなテクニックです。

最後に、発信器をつけたら罠の完成です。

「発信器? ここにきて急にデジタルなんや」

手作りの仕掛けを使い、できるだけ自然の摂理に則って野生動物と向き合ってきた片桐さんの行動ですが、発信機を付けることに、亮さんは違和感を感じたようです。

「ここは、ちょっと山の奥でしょ。罠にかかっているかを見に行くと、そこに人間の匂いを残してしまう。だから、ここの罠には発信機をつけておいて、ここまで来なくても罠にかかったか確認できるようにします。できるだけ彼らの生活環境の邪魔をしないようにするんです」

ひとつひとつの行動に理由があるんですね。

命を“おいしく”いただくこと

「生体反応があるうちに処理するのが、美味しくいただく秘訣です」

片桐さんが“生け捕り”にこだわる理由。
それは、山からいただいた大切な命を、おいしく料理してお客さんに食べていただくため。
料理人でもある片桐さんのポリシーなんです。

片桐さんの営む「寿司割烹 竹染」に隣接する作業場で、獲ってきた鹿の解体作業を行ない、食材にしていきます。

「まずは、刺殺をします。亮さん、突いてください」
「はい。僕が、、、はい」

鹿の屠殺は、心臓めがけて槍を一突き。
心臓を突くことで、全身の血液が心臓から流れ出るため、臭みのない美味しいお肉として解体できるんです。
このやり方は、動物を苦しめることもない最善の方法だと言います。

「ちょっと待ちましょう」

鹿が息をひきとるまで、静かに見守ります。

その後、お腹側から包丁を入れ皮をはぎ、内臓を取り出していきます。

取り出した内臓は、部位ごとに分けて、丁寧に水洗いします。

「余すところなく、手間をかけてでもきっちり食べてあげないとね、動物の命に申し訳ないですからね」

亮さんが洗っているのは胃袋。

「鹿も、牛と同じで4つ胃があります」
「そうなんですよね、解体してみて改めて分かる。頭ではわかってても、実際に見てみると、本当にそうだって実感する」

その後も、手際よく解体していく片桐さん。

「罠にかかっていた左前足は、内出血していて食べられません。鹿は、こうやってひとつづつお肉を解体していっても、精肉は15kgくらいしかとれないです。だから後ろ足が罠にかかると、食べられるお肉がもっと少なくなってしまいます」

そのため、先ほどかけた罠も含め、前足がかかるように設置するといいます。

とても貴重な鹿のお肉に向き合う亮さん。
ぽつりぽつりと、鹿に語りかけるように、話します。

「山で出会ってから数時間でこういう形になって。。。こうやって作業しているだけなのに、感謝の気持ちしかないです」

この日、2人は2時間半かけて下処理を行ないました。

手間ひまかけて“生け捕り”し、丁寧に解体する野生動物の狩猟。
まるで何かの儀式を見ているかのような、厳かな時間が流れていました。

「“いただきます”の意味を、46年生きてきて、初めて噛み締めました」

これまで、静岡県内のさまざまなところでお手伝いしてきた亮さんですが、すべての工程をしっかり最初から最後までお手伝いしたのは初めての体験。
それだけに、感慨深い味になったようです。

今週の亮さんは、どこへ向かったのでしょう?

「ぜんっぜん、ありません!」
「まったくない!」
「そんなこと、関係ないね!」

おっとりした見た目とは裏腹に、きっぱりと断言するお父さんに、亮さんもタジタジ。

「久々聞いたよ、『関係ないね』。柴田恭兵以来だ」

今回は、きっぱり断言するお父さんが水耕栽培で育てる「葉ねぎ」と向き合います。

放送は、3月17日(土)朝9:30から。おたのしみに〜

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